毛づくろう猫の道しるべ
第一章 そこに猫が居た分岐点


 昨晩は気合を入れて夜八時にベッドに入った。

 なぜ気合を入れてまで早く寝床についたのか。

 
 それは朝早く起きるため。

 単純な理由。


 でもそれは私にとってはとても重要なことだった──。


 今日は高校の入学式。

 完璧に身なりを整えたい思いから、早めに起きて準備をしたいのが、その一番の目的。


 只今早朝5時前。

 私はシャワーを浴びて、濡れた髪をタオルで丁寧に拭きながら、居間のソファーに座って一息ついていた。


 そのソファーの端で猫のブンジが丸まって寝ている。

 灰色の毛並みのキジトラの部類だが、背中の模様は縞ではなくて、水玉模様に近い。

 まるで豹やチーターのような柄。

 
 猫の種類に詳しい人がブンジをみれば、ベンガル種が混じってるとかいうけど、ブンジは普通の雑種で、元は野良猫。


 私が小さかったときに家の前に居たのを母が見つけて、そこで餌をあげたのをきっかけに通うようになり、そしてうちの猫になった。


 
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