毛づくろう猫の道しるべ
 私が嫌がる近江君の腕を引っ張っていると、すぐ側でタクシーが停まり、暫く間をおいた後、出張から帰りたての父が降りてきた。

 まさかこのタイミングで帰ってくるとは思わなかった。

「お父さん!」

 私が驚いている側をタクシーがすーっと通り過ぎ、父が目を凝らしながら近づいてきた。

「千咲都、その男は誰かね」

 父は訝しげになりながらじっと見ていた。

「近江君よ。やだ、忘れたの」

 一瞬父の目が見開く。

「どうもご無沙汰してます」

 何やらややこしくなりそうで、近江君は逃げ腰になっていた。

 そこに父がずんずんと近江君の前にやってくるから、近江君は自分のバイクを気にしつつ、再びあの時の事を思い出して畏怖していた。

「あの、用事があって寄っただけで、それにもう帰るところですから」

「何を言ってる。まあ、上がっていきたまえ。見たところずぶ濡れじゃないか、服ぐらい乾かしていきなさい」

「あの、その、ちょっと」

 近江君は父に背中を押されて家の中へ押し込められていた。

 思いもがけない展開に私の方がびっくりしてしまった。

 その一部始終を出窓からブンジも見ていた。

 父の帰りを早めたのはブンジかもしれない。

 私はブンジと顔を合わせ、お導きに感謝した。

 これもやっぱりサインだね、ブンちゃん。


 先ほどの激しい雨はポツリポツリとするだけで殆ど止んでいるといってもよかった。

 夏の強い西日が差しこみ、濡れて水滴がついてるものを全てキラキラと輝かせている。

 その光は眩く天からのお告げのようにまっすぐ私に降り注いでいた。

 空を見上げ、そこに何かのサインが現われてないか確かめるように、私は眩しい光に目を細めて虹を探していた。


<The End>



────────────────────────────────────────

最後までお読み頂き
ありがとうございました。
面白かったと感じて頂ければ幸いです。

皆様にも
人生を変える道しるべが現われ
何かのお告げのサインを感じ取って
幸せへとお導かれますように・・・

Best wishes,
Coconakid

P.S.
野いちごでおススメ掲載されたお蔭で目に留まって
ここに入り込んで下さって嬉しく思います。
投稿し直しても、まだまだ行間が詰まり過ぎて読む気が削がれるかもしれませんが
それでも読んで下さった方、ありがとうございました。










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