毛づくろう猫の道しるべ

 夕飯を食べ終わった後、居間で私はブンジを可愛く撮ろうと、色んな角度からスマホを向けて写真を撮っていた。

 そこに父が菓子折りの箱を手にして入ってきた。

「会社の人がお土産にこれを持ってきたんだけど」

「えー、またマカデミアンナッツのチョコレート。それお父さんも良く買ってくるから飽きた」

「お母さんも、架も同じ事言ってた。これはアメリカ土産の定番だからな。ついこれになってしまうんだよ。学校に持っていってみんなで食べたらどうだ?」

「あっ、それはいいアイデアかも」

 希莉と話すきっかけにも繋がるし、これはちょっと役立つ小道具になるかもしれない。

 頭の中でチョコレートの使い道が定まると、私は箱を父から受け取った。

「学校は楽しいかい?」

「えっ?」

 不意に父に質問されて、私は驚いた。

「いい友達はできたのか?」

「うん、まあね」

「それならいいけど。あまり無茶をするんじゃないぞ。あの学校は中々いい所だから、変な人はいないだろうけど、高校って言うところは、それなりにステイタスやらを気にして見栄張ったり、羽目を外す時があるからな。まあ、千咲都は大丈夫だけどな」

 まさにそうなんですよ、お父さん。

 只今私は無理をして大変な事になってます。

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