さよならはまたあとで
花火

空がオレンジ色に染まり始め、そのあとをゆっくりと藍色が染めていく。

だいぶ日が落ちてきた。

渚と七瀬と合流してから、私はどこかの事務所のマネージャーに声を掛けられたと二人に説明し、名刺を見せた。

私の手のひらに乗っていたそれは、あっという間に渚の手に渡った。


「どうしたらいいのかなぁ」


私がため息まじりに呟く。

モデルをやりたいなんて思っていた自分が過去にいたことが未だに信じ難い。


「どうしたらいいのかなぁ…じゃないよ!」


渚が私の口真似をしながら嬉しそうに私を見つめた。


「恋川芸能事務所って、すごく有名な所だよ!あのイケメン俳優も、最近話題の女優も、モデルも、みーんなそこの事務所だもん!!」


「渚…詳しいね」


そう七瀬に呟くと、


「渚も憧れてたから」


と、こそっと私にささやき返した。


「ここを捨てたらもったいないよ!
優恵ちゃん可愛いし、性格もいいから絶対売れるよ!!この渚の目に間違いない!!」


「はいはい、渚が入るわけじゃないからねぇー」


一人で興奮していく渚を七瀬がなだめていた。

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