さよならはまたあとで
線香花火

ちゅんちゅんという雀の鳴き声。

携帯から鳴るアラームの音。

布団の中からやっとの事で手を伸ばし、鳴り続けるアラームを止めた。


二度寝したい気持ちを抑えて顔を上げる。

カーテンの隙間から差し込む陽射しに目を細めた。


夏休みも半分が過ぎた。



律太が現れなかったあの日、家に帰ってからやっと、律太からの連絡があった。


『本当にごめんね。急な用事があって』


そうやって謝られたら、大丈夫だよって言うしかないじゃないか。

それからはぷっつりと連絡はなくなった。

律太と海に行くリベンジもなく、その代わりに出かけることもなく。
< 160 / 256 >

この作品をシェア

pagetop