さよならはまたあとで


「…どのくらい知ってるの?」


「え?」


明良は突然ぽつりと呟いた。


「燈太の事故のこと、優恵はどのくらい知ってるのかなぁって」


彼は少し鼻声混じりに続ける。


「…少し、ニュースで見たくらい。実はよく知らないんだ」


私は燈太の写真を見つめた。
逃げてばっかりだったもんなぁ、私。


「俺さぁ、実はあのとき、事故現場にいたの」


彼はいつになく真剣な表情になる。
そんな彼に、私も少し身構える。
< 176 / 256 >

この作品をシェア

pagetop