さよならはまたあとで
その晩、私は夜通し泣いた。

目は真っ赤に腫れてしまった。

彼のお通夜も、お葬式も、私は泣いてばかりだった。

もうどうやって生きていけばいいのか分からなかった。

急に車にでも轢かれて死にたい気持ちだった。

一度、線路に出ようとしたこともあった。


でも、どうしても燈太の顔がチラついてしまって、実行は出来なかった。



私は再び1人になった。

不幸中の幸い…とでもいうのだろうか。

私は、興味のない人間の頭上には、あれは見えなかった。

死期と死因…

それが見えるのは私が好意を持つ人間。

もちろん、親のも見えた。

私はよく確認せずにパッと顔を逸らすしかなかった。

きっと、一生親の顔をしっかりと見ることはできないだろう。
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