それを愛だというのなら
人がいないところで、こんなに密着して……。
もしや健斗、最初からこれを狙って!?
そうだよね、健斗だって健全な高校生。いやらしいことを考えていたとて、何も不思議はない。
ああでも、こんなところで……何かあったらどうしよう。
妙に変なリズムで動き出した心臓をなだめようとしている私とは反対に、健斗は涼しい顔で私に食べ物をすすめてくる。
「もうすぐ始まる。ほら」
こくりとラムネを飲み込んだ瞬間、目の前の夜空に尾を引いて、光の玉が飛び出した。
「あっ」
光の玉がぱっと開き、夜空に大輪の花が咲く。
「すごーい!」
打ち上げ花火が、木の葉や建物に邪魔されず、こんなに大きく見えるなんて。
「こんな穴場知ってたんだ」
「まあね。でも、仕掛けはここからじゃ見えない」
なるほど。打ち上げは良く見えるけど、河川敷に設置された仕掛け花火は、さすがに見えそうにない。
「全然いいよ! じゅうぶん!」