それを愛だというのなら
ああ、最悪だよ死神くん。
好きな人の前でこんな醜態をさらさせるなんて、あんたは鬼だ。
そんなことを思っていると、ただ息をするしかできない私を、健斗が無理やり抱き上げた。
「すぐ家だから。救急車を呼んでもらおう」
「けん、と……」
「大丈夫だよ。きっと、暑いのに外にいすぎたからだ。すぐに良くなる」
健斗は汚れた私をかまわずにお姫様抱っこしたまま、家までの道を早足で歩く。
私は痛みで気が遠くなりながら、そっと目を閉じた。