それを愛だというのなら
2.初恋のはじまり


明るい光をまぶたに感じ、目を開ける。

何度かまばたきをすると、視界がはっきりしてきた。

もう朝か……。

そしてはっきりした目の前には、私を覗き込むようにした大勢の大人の顔が。

お母さんはわかるけど、先生二人に看護師さん三人。

多いな!

びくりと体を震わせると、お母さんが私の手を握ってホッとしたような顔を見せた。


「瑞穂、お母さんだよ。わかる?」


それはわかるけど、この状況がわからない。


「あんた、さっきまで血圧が急降下しちゃって、このままダメなんじゃないかと思って……」


お母さんがへなへなと座り込む。

血圧が急降下? 

寝てしまってからお母さんが入院の荷物を持って戻ってきた。

それも知らないくらい深く眠っていた私は、今さっき……朝になってから死にかけたってこと?


「しかし、先ほど急に血圧と脈が急上昇し、今は正常値です」


主治医の先生がベッドの脇にあるモニターを見て言う。



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