お金か愛か~16歳男子の決断~
「俺はさ…長男なんだよ…。母さんはいぃひんし父さんは単身赴任。今俺がしっかりしんと…!」


俺より厳しい家庭の人はいるはず。


でも…金持ちばかりの学校にいる俺にとっては、自分の家が誰よりも大変な気がした。


「惟智が好きでもない人と一緒になって家が楽になったとしても、みんな…喜ぶんか?」


都希のこの言葉が俺の頭で何度も何度も繰り返された…。


喜ぶわけあらへん。


俺やったら喜べへんもん。


でもそれは俺が伊集院さんを好きちゃうって、みんなが知ってたらの話。


「都希、俺が伊集院さんと付き合ったとしても…あいつらには言わんといてくれ。」


そうすれば大丈夫や…。


「惟智…いつものとこ行かへんか?」


「え?い…いいけど…。」


小声でしゃべるには限界が来たんかな…。


俺たちは無言でいつもの場所…屋上に行った。


適当な場所に2人とも腰を降ろす。


「俺は…1年前のような…惟智の幸せな顔が見たい!妹に隠し事して辛い想いしてる惟智なんか見たないねん!」


都希から放たれた言葉に俺は無意識に涙を流していた。


1年前の…俺…。



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