デキ愛レッスン!?
2月のこの日は朝から晴れていたものの、外は凍てつくような寒さだ。
制服の白いコートに身を包んでいる夕雨子は、まだ5分程しか彼を待ってはいないが、パッチリした目は寒さで潤み、スッと伸びた鼻の頭は、ほんの少し、赤くなっている。暖を取ろうという無意識の行為だろう、彼女は赤い毛糸で編まれたミトンをはめている右手を口元に近づけると、ハァッと息を吐いた。
赤い毛糸で編まれたミトン―――彼女の双子の妹・夕里子の手製だ―――をはめていても、女学院指定の濃紺と緑のタータンチェック柄のカシゴラ(カシミヤとアンゴラの混合)マフラーを首回りに巻いていても、やはり外は寒い。加えて、その場にじっとしていれば、余計寒さを感じる。
思った通り、桜色の唇から吐き出された彼女の息は、白かった。

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