デキ愛レッスン!?
「この際だからハッキリ言っておく。俺は、おまえみたいに男勝りなじゃじゃ馬よりも、おとなしくてしとやかな女の方が好きなんだ。たとえば夕里子ちゃんみたいな」
最後の宗像のセリフに、いつも澄んでいる夕雨子の目が、ショックで大きく揺らいだ。
自分が男勝りだってことくらい、自覚してる。
自分にしとやかさなんて、かけらもないことも分かってる。
でも・・・。
「わたしは・・・わたし、だもん。私は夕里子みたいになれないもん!」
「あ・・おいっ!待て!」
彼の呼び止めを無視して、夕雨子は踵を返すと、手に持っていたチョコをバッグに戻して走り始めた。とめどなく流れ出る悲しみの涙を、拭うこともせずに。
2月14日のこの日、巷にはたくさんのカップルが誕生したことだろう。
しかし、今まで誰かをふってばかりだった冬木夕雨子は、この日初めて、好きになった人にふられた。

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