笑って。僕の大好きなひと。

しかも、二匹もいる! うわああ!

にわかに興奮したわたしは、ノアの腕をつかんでぶんぶんと揺らした。野生のウサギなんて、もちろん初めて見るのだ。


「かっわいい……! 親子かな」

「たぶんね」


触りたい。でも、ウサギって臆病なイメージがあるし、怖がらせるのもかわいそう。スマホが壊れていなければ写真を撮りまくったのに。

うずうず悶々するわたしの横で、ノアが中腰になった。

そして、わたしとつないでいない方の手を差し出し、「はじめまして」とウサギにあいさつをする。

てっきり「おいで」とか言うと思ったのに、「はじめまして」って、律儀か。

……どうしよう。
ノアもかわいい。ウサギ効果かもしれないけど、無性にかわいい。

男の人に対して本気でかわいいっていう感情が湧くのは初めてだ。こんなことをわたしが思ってるなんて、絶対にトップシークレット。
< 100 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop