さよなら、もう一人のわたし

 彼女はそのまま自分の教室に戻っていく。
 わたしが教室に戻ると、弘は案の定わたしの席のすぐ近くにいた。

「彼女、恋愛に興味ないってさ。だから諦めたほうがいいよ」

 わたしはそう言うと、席に座った。
 弘の興味津々な表情を見ていると、そんなつもりはさらさらないと言っている気がした。

「名前は?」
「成宮千春」

「誕生日は?」
「知らない」

「家は?」
「知っているけど、教えられるわけないでしょう?」

 わたしは苦笑いを浮かべて、弘を見た。

「確かに、な」

 彼も答えを期待しているわけではなかったのだろう。苦笑いを浮かべていた。

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