大切な人へ

「どうした? 何か…へん」

移動教室で4人で歩いている


井川くんが少し不機嫌そうに見下ろしていて
なんて言っていいかわかんないよ…



でも1つ思いついたことがあるの!


授業が始まる前に上田くんにライン

[今日テスト前だし部活休み?
できれば放課後相談があるんだけど…]



______________

「どうしたの?」

『あのね…今日 紗羅に聞いちゃったんだけど

その…したって。 ごめん変なこと言って…』


多分真っ赤になってるのが分かる
それが更に恥ずかしい…

「あぁ… だからあの時も…」

納得した様にクスっと笑われる…あの時も ね


『あの…ちょっと聞きたいことあって
答えられる範囲でいいから教えてほしいなって』

「紗羅じゃなくて俺に? 何?」

急に上田くんが大人びて見えてしまう
照れてるのは私だけだし…


『経験がある人って…好きな人ができたら
その…したくなるものだよね?』


少し瞬きを繰り返して答えてくれる


「そうだね。対象にはなると思うよ?
即行動を起こすわけじゃないけどね」

『…それって我慢できるものなの?』




真剣な私にきちんと話してくれた

「もし付き合ってたら…男だし
ずっと我慢はつらいと思う。好きなんだし。

でも付き合ってない人なら仕方ないよね
好きでもその対象にはできないから…

諦めて他に対象が移ったりするかもね
我慢し続けるのって男にとってはつらい事だと思う」



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