大切な人へ










バンっ‼‼


「何やってんだお前らー‼」

ものすごい声…


怒りに任せた怒号の様な声に
私も含め男の子の手が止まった


掴まれていた腕が解放されてへたれこむ

よかった…だれか来てくれたんだ…






破られカッターで切られた制服と下着

抵抗して殴られた体

そして無理やりされたキス...


私の体は恐怖と痛みで震えてた




近くで机や椅子の倒れる音がするけど
恐くて顔をあげられない…


「前田と山下か…絶対逃がさねぇからな…」




うずくまる私の肩にふわっと服がかけられた



え…? この匂い…



ゆっくりと顔を上げると



『…先生っ』

一気に涙が溢れて彼にしがみついた

さっきの…先生の声だったの?
あんな声出すのかって思うくらい…怒ってた


震える体をしばらく抱きしめてくれて

もう大丈夫って優しい声に

少し恐怖が和らいだ気がした





私は体操服を着たけど 傷が痛くて立てなくて

先生が保健室に連れて行ってくれた

切り傷も多かったけど

思い切り殴られたお腹の痛みが酷くて

病院にも先生が連れて行ってくれた


ずっと震えが止まらなくて


何も話す気になれなかった…



病院でお腹を見てもらい
切り傷の手当てを受けた

私の状態をみて婦人科も受診するか聞かれたが
うつむいて首を横にふった



診察室を出ると先生が待っていてくれた

『肋骨に…ヒビが入っただけです…
大したことなくて入院もしなくていいって…』

まだ声が震えていた…

「ほんとに? よかった…」

安心したように険しい表情が緩み
はぁーっと大きく息を吐く先生


『心配かけて…ごめんなさい』


謝ることじゃないって 私を支えて
ゆっくり歩いてくれる…





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