大切な人へ

席についてパンフレットを渡してくれた
まだ始まる前で会場は少しざわざわしてる


『あの...』 小さな声で話しかける


『ここ...すごくいい席』

「わかるんだ?すごいね」


アーティストのコンサートなら前の方が
いい席なんだろうけど、クラシックなどは違う

音の反響でホールによって少しずつ違うけど
この席は間違いなくいい席なのはすぐわかった



「気にしないで楽しんで。知ってる曲ある?」

パンフレットを一緒に見てると
先生が色々聞いてくれる。作曲のこと楽団のこと
先生に何か教えるのってちょっと新鮮



ふっと照明が落ちて
ステージにはスポットライトを浴びる指揮者

アナウンスが流れていく...
「本日は__にお越し頂き誠にありがとうございます
本日は皆さまのご家族、恋人、そしてお隣に
いらっしゃる方と一緒に聞いていただきたい曲を
そろえております。お楽しみください」



アナウンス終了と共にタクトがふられた


美しい音と迫力、そして愛をテーマにした曲...
私は感動しっぱなしだった


その私の手が横から握られ2人の間のひじ掛けで
恋人つなぎにされていく


隣を見ると少し目が合う__



幸せ...



コンサートは一部と二部に分かれていて
二部は歌手も出てきてカジュアルな曲が多くて
先生もわかったみたい

アンコールも終わり会場が拍手に包まれた



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