大切な人へ
ぼーっと見てると
ぱっとまた目が合った
「何?今日やたら見てないか?」
不思議そうに見つめられて焦る
理由なんて言えません!
『井川くんはさ…いつから…
どうして私を好きになってくれたの?』
「っ‼ ごほっ‼」
コーヒーにむせる彼にハンカチを渡した
話しも変えたかったし
それも前から気になってたんだよね
「それ…言わなくちゃいけない?」
あっ照れてる 初めてそんな顔見たかも
『出来ればお願いしたい』
ちょっと悩んでたのか
少し間を置いて話してくれた
「覚えてるかな…2年になったすぐの試験」
『試験…ん~…あっ!ペン?』
そう言われて思い出した
...でもあんな事で?
「そう。試験中に1本しかなかったシャーペンが
壊れてまじで焦ってて」
『うん 笑
横でごそごそしてたからすぐわかった』
「その時お前と目が合って、わざとペン落としてさ。落ちたよって自分の貸してくれた
助かったし優しい子なんだなって思った」
そう言ってる井川くんが凄く優しい顔してる
「その後もよかったら使ってって言われて
まぁ見た目もあるけど 天使かよって思った」
天使?笑
「1年の時から知ってたしすれ違ったことくらい
あったけどさ 見た目だけだろとか思ってたから
ギャップもあったな」
……そっか
「でもお前の事ずっと近くで見てたけどさ…
男避けててもモテる理由わかった」
『え?』
「日直が忘れてる仕事を黙ってフォローしたり
次の先生に悪いからって黒板消しなんか
しょっちゅうしてるし?
体調悪いやつすぐ見つけて声かけてるし
勉強だって聞かれたら誰にでも教えてるし
愚痴も悪口も言わないし よく笑うし」
『もういいよ…ありがとう 』
こんなに見ててくれてたんだ
そんな風に思ってくれてたんだ
何か胸がいっぱいだよ…泣きそうだから
「そういうこと自然に出来るのって
すごいと思う。だから好かれるんだよ。
...こんなとこで泣くなよ?
俺が泣かしたって100%思われるから」
照れたように口元を隠してる
『私は井川くんの方が優しい人だと思うよ』
そんなに周りを見られるのも
人の幸せを喜んであげられるのも
優しいって証拠だと思うもん
それに今日すっごく優しいのは
あの事で心配してくれてるんでしょ?
ありがとう。井川くん