大切な人へ

『そんなにわかるくらい痩せた?』

「まぁ...少し?
でもその前に痩せたの合わせると__」

自分の言葉にはっとした様に
途中で止まってため息をつく

思い出さなくていいのに...



「ごめんぼけつほった...ケガは治ったの?」

『うん。もうほとんど痛くない
あと1回病院行ったら終わりかな』

学校に行かなくていいからその分は楽だった


ダイエット成功って思っといてって言うと
前の方がいいだって...さらっと言わないでよ


彼がスマホの画像を見せてくれる
春の体育祭の時のだ!!

ちょっと懐かしくて見せてもらった

「今の方が顔細い」

確かに言われてみたらそうかも?くらい
ほんとよく見てるな...



『この頃は2人共紗羅が好きなんだと思ってた』

「前もそんな事言ってたな?どして?」

『紗羅彼氏いないって言ったら2人とも喜んでたし、隣の時もほとんど話さなかったし』

「お前って始めの頃は目も合わせなかっただろ?シャットアウトしてなかったか?
話しかけんなって感じだったし」


…確かにそうだ 井川くんだけじゃなくて
男の子から逃げてたし



『でも紗羅がいると話しかけてくれてたから…』

「渡辺は話しやすかったからな。
上田が好きかもって言ってたから付き合った」

なるほど。
だから紗羅と話してる印象が残ってたのか



『2人仲良いよね 幸せそうで』

そうだなってほほえんでコーヒーを飲む姿が
先生とダブって見えた…


あ___そっか…

雰囲気が似てるんだ…



たまに優しい時の井川くんと、先生って


髪形も顔も全然違うけど
不思議とそう感じる


来た時に微笑んでた時も
今笑ってカップに口をつけてる感じも

どことなく似てて、ほっとする





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