大切な人へ

「...『待って! 最後まで聞いてほしい』

「...うん」

彼の言葉を遮る

聞きたくない言葉が聞こえた気がした



『好きだけど 付き合ってほしいんじゃないんです。無理だって理解してるつもりです。

自分でもどうしたいのかわかりません
どうすればいいのかわからないんです…』


『本当は勉強を教えてほしいって言ったのも
口実でした...2人で話しがしたかったの。

花火の日に嬉しかったって言ってくれたのに
ごめんなさい!

でも...質問できるようにその分勉強したの
先生の時間を無駄にしたくはなかったから』


『先生の笑顔が好き。
優しくて、たまに子供っぽいところも好き。
真面目なところも雰囲気もしぐさも...
沢山知っていくほど好きになった。


終業式の時も花火の車でも
話を聞いてもらえて嬉しかったです。
先生の言葉は私を救ってくれました』


声がゆれる...


『でも私は生徒で
私たちの関係は変えられない。
わかってます。わかってるけど__

もう少しだけ 先生の近くにいきたい…
そばに居させてくれませんか...』


終わりです と言って俯く


でも結局私はどうしたかったんだろう

一番無理な事を望んでしまってる自分もいるの


こんな事言ったってやっぱり困るだけ…かな



先生は最後まで聞いてくれた

言い終わった頃には私はぼろぼろ泣いていた



先生は視線を下げたまま何も言わない

沈黙が怖い


______________


ガタッ!

私はカバンを持って教室を飛び出していた


廊下を走って駆け込んだ場所は...
あの女子トイレだった






< 70 / 192 >

この作品をシェア

pagetop