大切な人へ
「...『待って! 最後まで聞いてほしい』
「...うん」
彼の言葉を遮る
聞きたくない言葉が聞こえた気がした
『好きだけど 付き合ってほしいんじゃないんです。無理だって理解してるつもりです。
自分でもどうしたいのかわかりません
どうすればいいのかわからないんです…』
『本当は勉強を教えてほしいって言ったのも
口実でした...2人で話しがしたかったの。
花火の日に嬉しかったって言ってくれたのに
ごめんなさい!
でも...質問できるようにその分勉強したの
先生の時間を無駄にしたくはなかったから』
『先生の笑顔が好き。
優しくて、たまに子供っぽいところも好き。
真面目なところも雰囲気もしぐさも...
沢山知っていくほど好きになった。
終業式の時も花火の車でも
話を聞いてもらえて嬉しかったです。
先生の言葉は私を救ってくれました』
声がゆれる...
『でも私は生徒で
私たちの関係は変えられない。
わかってます。わかってるけど__
もう少しだけ 先生の近くにいきたい…
そばに居させてくれませんか...』
終わりです と言って俯く
でも結局私はどうしたかったんだろう
一番無理な事を望んでしまってる自分もいるの
こんな事言ったってやっぱり困るだけ…かな
先生は最後まで聞いてくれた
言い終わった頃には私はぼろぼろ泣いていた
先生は視線を下げたまま何も言わない
沈黙が怖い
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ガタッ!
私はカバンを持って教室を飛び出していた
廊下を走って駆け込んだ場所は...
あの女子トイレだった