大切な人へ
ー先生sideー
科学室のドアを開けると彼女はもう座っていた
向かいに座るといつもと様子が違う...
胸騒ぎがする
『今日は勉強を見てほしかったんじゃない』
ドクンッと大きく鼓動がした
待ってくれ...口に出さないで...
でもそれは聞こえた
小さな声だったがはっきり聞こえた
俺を見つめて好きだと言った...
彼女の告白は迷いも含めて気持ちがストレートに伝わるものだった...
自分と俺の立場のことも葛藤も
ただ純粋に恋をしてることも…
『近くにいきたい
そばに居させて』
これが今望める最高の願いだと解っている
俺はその健気さに言葉が出なかった
彼女の気持ちに気付いてから
ずっと出ていた答えを言えなかったんだ
黙り込む俺を残して彼女は行ってしまった
でも追いかけてかける言葉も決まっていない
俺はその場所に残った