大切な人へ
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『先生の気持ち...教えてほしい...』
彼女の潤んだ瞳から
ポロッと涙が落ちた_____
ぶつかる視線を遮るように目を閉じる
俺は最低だ...
「ここからは教師じゃなく話す」
彼女はじっと俺を見つめている
「藍野さんはすごくいい子で頑張ってて
でも寂しがりでよく泣いて...
ほっとけなくて、何かしてあげたいって
思うようになってた
口実だって言ってた勉強会も
俺も楽しかったんだ いつも...」
そっと頭を撫でた
「俺も好きだ」
そう言ったとたん大きな瞳から涙がどんどん溢れてきた
嬉しそうな彼女の頭を撫でるが
俺は罪悪感でいっぱいだった...
「でもな?今のは俺個人の気持ちだから...
付き合えないのは変わらない。俺は教師だ」
顔を抑えて俯く彼女に伝える
「答えが決まってるんだから
気持ちを伝えるのは止めようと思ってた
でも藍野さんの気持ちも
俺の立場を考えてくれたのも嬉しくて
だからきれいごと並べて断るだけなんて
ひどいと思ったんだ。期待させてごめん」
本当は言わない方がよかった
でもできなかった
『嬉しいです...』
彼女は涙をぬぐいながらそう言った