大切な人へ

「まだ時間はあるよ。
受験なんてあと1年以上先だし」

彼はにこっとそう言った。

『だから...』

「まだ決めなくていいんじゃない?

したいことって急に決まることもあるし
行きたい会社が決まれば就職したらいい。

大学行きたい奴らより勉強してるんだから
ゆっくり考えたらいいよ。」



そう言ってコーヒーに口をつける



『先生...説得しにきたんじゃないの?』

予想外の内容だった

「違うよ?悩んでるのかなと思って
話し聞きたかっただけ」

そっかと気が抜けて笑ってしまう
お礼を言うと


ふわっと笑って、少し覗き込むように言った

「俺がここに来てる時は
プライベートだから。藍野さんの味方だよ」

だって!!
どこまで惚れさすんだよー!!


「就職したって後から大学入る人もいるしね」

『そう言ってくれると楽になります』

ふふっと笑って私もコーヒーを飲む



「でもやっぱりちゃんと考えてたんだ。
実はそんなに心配してなかった」

目を細めて私を見つめる

「なんでも一生懸命で
考えなしで動く子じゃないからな」



藍野美優選手
ノックアウトです



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