大切な人へ

「1つください」

その声に顔を上げる!先生だ!


『副担なんですから中でどうぞ』

中から他の女の子達もどうぞ!って
言って先生を連れていった


ブースの中で女子のかん高い声が響く

「先生って彼女いないの?」

「え?実はいい体?
白衣着てるからわかんなかった!」
「本当だ~‼」

…… 。


気になる…



接客してるけど耳は後ろの会話に
気をとられっぱなし


「先生って実はかっこいいよね♪」


…やだ



「疲れた?」

隣から少し心配そうな声がした

『うん…ちょっと疲れたかな』

「おい!店番交代!」

先生と話していた子の中から
2人が来て交代してくれた
でも先生はまだ女子の輪の中だ


井川くんは投票に他の人と行った

参加者の投票権のない私は
ブースの少し後ろで休憩中

楽しそうに話す先生達のところには
行く気にはなれなかった




「美優ちゃん?」

見上げると3年生っぽい男の人が
4人もいてびっくりした


『はい…そうです』

「写真より可愛いじゃん!」
「俺ら美優ちゃんに入れたよ」
「彼氏とかいんの?」


…こわい

一気にみんなで話しかけられて
どうしたらいいかわからない


「はい。ストップ」

穏やかな声が彼らをとめた


「こわがってるでしょ?
それくらいにしとけって」

先生は優しい口調でそう言ってくれて
4人はごめんねって帰っていった



< 93 / 192 >

この作品をシェア

pagetop