大切な人へ

「こんな風に話せると思ってなくて
嬉しかったけど、フラれる訳ね」

ははっとから笑いして続けた


「藍野さんに告白したら泣かれたって
聞いたことあったんだ…

実際そうなってやめときゃよかったと
思ったけど…やっぱ言ってよかった」

彼の笑顔を見て私も嬉しくなる

相手にこんな事言ってもらえたの
初めてで…


『もう告白で泣いたりしない!
ごめんね!ありがと』

そう言ってお互いのブースに帰った

別れ際に美女コン入れるからって
言われて現実に戻される…




「男と何してたんだよ」

乱暴な言い方だけど略すと
どうしたの?大丈夫?って意味 笑


『大丈夫だよ なんでもない!
でももうちょっと優しく言えない?』

私が笑いながら言うと
紗羅たちもそうだ!って笑っていて
井川くんは少し拗ねてしまった



私と井川くんは午後の店番だったので
午前の紗羅たちを置いて
なんとなく一緒に校内を歩いていた


ピンクのタスキはやはり目立つせいか
やたら声をかけられたけど

井川くんが横にいてくれるから
絡まれることは無かった



午後の店番の販売係でも

「ナンパ禁止なんで。あざーす」

隣でずっといてくれた



私が美女コンに出たくなかった
一番のこの理由
分かってくれてたのかな…



『__井川くん』

「ん?」

『ありがと』


手が空いたときに隣で言った
井川くんがいてくれてよかったよ




「…別に」

ボソッと視線を変えずに言う彼を
ちらっと見たら…少し照れてる?


それにちょっと笑っちゃった



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