ラブ パラドックス
Chap.05 恋敵
「ちょっと。何落書きして遊んでるのよ。仕事終わったなら帰りなさいよ」

「遊んでねえよ。仕事してんだよ」

「なにが仕事よ。え、やば。クオリティ高くない?」

「だろ?俺、自分の隠れた才能に驚愕」


満足げな笑みを浮かべ、シャーペンの先でトントン、と机を鳴らした夏目くん。


顧客宛の郵送書類の準備に追われている私の隣で、こともあろうか。

某国民的テレビアニメ”サザえもん”の主要キャラを、A4のコピー用紙に鼻歌交じりに描いている。


20時を回ったオフィスには、わたしたちしかいない。

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