ラブ パラドックス
「わたし、陽くんと同じスイミングスクールに通ってたんです」
「そうなんですか?」
「小学校3年生までなんですけどね。わたしはずっと初級クラスで、陽くんは飛び級で上級になって、4年生のとき強豪スクールに移っちゃいました。陽くん、低学年のころすでにメドレー泳いでたんですよ」
「メドレーって、あの?クロールとか、バタフライとか?」
「ですです。当時25掛ける4の100メートルでした」
「すごいですね!」
「まさか大人になって同じビルで働くなんてびっくりです。陽くんは私のこと覚えてなかったけど、わたしはずっと陽くんの活躍を追っかけてたから、すごく嬉しくて」
そうはにかむ彼女の横顔は、恋する乙女そのもので。夏目くんのことを、親しげに陽くんと呼ぶ彼女に、激しく動揺する。
笑顔を作って、相槌を打つのが精いっぱい。
「陽くんはわたしの初恋なんです」
驚きはない。そうだろうなと冷静に受け止められた。
でも、漠然とした不安が募る。きっと、彼女は、また。
「そうなんですか?」
「小学校3年生までなんですけどね。わたしはずっと初級クラスで、陽くんは飛び級で上級になって、4年生のとき強豪スクールに移っちゃいました。陽くん、低学年のころすでにメドレー泳いでたんですよ」
「メドレーって、あの?クロールとか、バタフライとか?」
「ですです。当時25掛ける4の100メートルでした」
「すごいですね!」
「まさか大人になって同じビルで働くなんてびっくりです。陽くんは私のこと覚えてなかったけど、わたしはずっと陽くんの活躍を追っかけてたから、すごく嬉しくて」
そうはにかむ彼女の横顔は、恋する乙女そのもので。夏目くんのことを、親しげに陽くんと呼ぶ彼女に、激しく動揺する。
笑顔を作って、相槌を打つのが精いっぱい。
「陽くんはわたしの初恋なんです」
驚きはない。そうだろうなと冷静に受け止められた。
でも、漠然とした不安が募る。きっと、彼女は、また。