ラブ パラドックス
「この前、昔私たちは同じスイミングに通ってて、陽くんはわたしの初恋の相手だよって言ったら驚いてました」

「そうなんですね」

「実は今度、陽くんが通ってるジムに、わたしも行くことにしたんです」

「ジムですか?」

「はい。用事がない日は毎日行ってるらしくて。わたし最近全然体動かしてないから、ヨガか何かしたいなと思ってたんですよね」

「わたしも運動しなきゃって思うことよくあります」

「ですよね。今度ウエアを一緒に選んでくれることになってるんですけど、いつにするか決めたくて、陽くんいるか聞いちゃいました」


わたし知らない。夏目くんがジムに通ってるなんて。そんなの聞いたことない。

喉にこみ上げる違和感をゴクリと飲み込み、口角を上げて見せる。

大丈夫、笑顔は口角を上げれば作れるはず。目が笑ってなくても、夜だからわかんない。


わたし、夏目くんにデートに誘ってもらって浮かれてた。優しくされて、女の子扱いされて、勘違いしてた。

わたしは同期だから、親睦を図ろうとしてくれただけなのかもしれない。

夏目くんはぶっきらぼうだけど、誰にでも優しいのかもしれない。


それとも、美優さんは特別?
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