ラブ パラドックス
Chap.07 言霊
鼻歌を口ずさみながら、プロジェクターを微調整する夏目くん。

セミナー開始直前に、よくもまあそんな余裕で。


「どうよ。この家系図」

「はいはい。クオリティ高いね」

「だろ?」

「そんなことより、そのセンス良すぎるネクタイのほうが興味をそそるんだけど。誰?誰?そのハイセンスの持ち主は」

「俺」

「ちょっと!」


大型スクリーンに映し出された、例の一家の家系図を嬉しそうに眺める夏目くんは、なんと今日、私が選んだネクタイを初めて身に付けている。

見慣れないYシャツは、恐らくネクタイに合わせ、湊さんのお店で新調したものだろう。


いかん。にやける。

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