ラブ パラドックス
近くに座る人たちが顔を見合わせ、笑顔で何かを話し合っているのが見える。
夏目くん、うまいなあ。人の心をつかむのが。
天性の才能だろうか。
このタイミングで、夏目くんの自信作が映し出される。
会場がどっと沸く。
「今日のこのセミナーのために、何か月も前から練習してきました。上手でしょう?」
どこからか拍手がおこり、会場全体に広がる。
いまだかつて、こんなに盛り上がったセミナーはない。
すごいと思った。
でもそこに、敗北感と嫉妬心も加わるからややこしい。
セミナーは間違いなく成功する。
安心して、夏目先生のフォロー役に徹した。