ラブ パラドックス
「改めて言わせてもらっていい?」

「改めて?」

「そう。改めて。俺、凛子ちゃんが好きだよ」


はにかんで、でも目線は逸らさない湊さんが、ポケットの中から手を出した。

まだ、繋いだままの手。


「湊さん」

湊さんが首を左右に振る。私の言葉を制して「ごめんね、話をさせてね」と目が語る。


「一目惚れみたいなもんなんだけど、ちょっと違うんだ。はじめて店に来てくれた時、ネクタイ選んだよね。夏目さんの」

「うん」

「あの時本気で悩んでたよね。彼には何が合うかとか、彼が持ってなさそうで、でも敬遠されるようなものじゃなくとか。その姿がグっときた。あの子にあんなに真剣に思われたいって思った」


何も言えずただ相槌を打つ私に、湊さんが続ける。


「凛子ちゃんに気になってる人がいるって言われて落ち込んで、その人のことを好きになってるって聞いて苦しくなった」

「湊さん…」

「俺と付き合って欲しい」


——と、その時、バッグの中の携帯が鳴った。

しんと静まり返っていたからか、その音が大きくて驚いた。

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