ラブ パラドックス
店を出ると、周辺の居酒屋の出入り口前に団体客が騒ぐ姿が目に付いた。新年会だろう。
うちの事務所は来週末だ。
外は、せっかく温まった体があっという間に冷えてしまう。そんな寒さだ。
「まだ時間いいだろ?ラーメン食いに行こうぜ」
「悪い。葉月が作ってくれるの食うから今夜はこれで解散だ」
「はー?うらやましすぎる。これから会いに行くのかよ」
「まあな」
自然と笑みがこぼれてしまう。それを見た涼平が「にやけてんぞ」と冷やかしてくる。
仕方ない帰るか。と駅へ歩き出した涼平の足元がほんの少しおぼつかない。
なぜかふと、いつぞやの占いが頭をよぎるが、駅とは反対方向だ。
「ところで俺から店長に伝えたほうがいいのか?お前と凜ちゃんのこと」
うーさぶ、と涼平は両手をコートのポケットに突っ込んだ。