ラブ パラドックス
「あー…こういう時どうすりゃいいんだ?直接伝える責任がある気もするけど、その必要あるか?」
「責任はないだろ。凜ちゃんから店長に伝えた可能性は?」
「わかんねえ」
そうか。あの二人は連絡先を交換してるんだった。
面白くない。
「あれ?噂をすれば」
ほらあそこ。と涼平が指さした先には、駅に向かう噂の人物だ。
上質なコートをさらりと羽織り、きっちり折り目のついたスラックスに、手入れの行き届いたこげ茶のシューズ。
ヘアスタイルも隙がなくて、後ろ姿でさえいい男だとわかる。
酒が入って陽気になってる団体とは異なり足早だ。
俺は思わず駆け寄って声をかけた。