ラブ パラドックス

「もう何回か見てるだろ。それにお前全然かわいいって」

「はいお世辞」

「とにかくかわいすぎて無理」


抱きしめたくて仕方なくて、両手で葉月を捕まえる。


「もう、」と口では言うものの、葉月も両手を俺の体に回してきた。

部屋に入ってもなお、腕の中に葉月を捕らえたままだ。


「ラーメン食べる?」

「いや、」

「服冷たい。寒いでしょ。お風呂にゆっくり浸かってきなよ」

「ん、」

「どっち?」

「お前とベッド行く。それが一番温まる。つーか、汗かく」

「酔ってる?」

「酔ってねえよ」


すぐ近くにある葉月の顔。少し顎を持ち上げて、唇を重ねる。

このままベッドになだれ込みたくて、先を急ぐ俺に、葉月の唇がそれを拒む。


んー、と押し付け離れた唇が、甘く妖しく誘う。


「お風呂に入ってきて。それから。ね」
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