ラブ パラドックス
涼平と別れて、駅のホームで送った『これから電車乗る』の業務連絡から始まったメッセージのやり取りは、結局葉月の家に着くまで途切れなかった。

『何食べた?楽しかった?今度一緒にそこ行きたい』

『お前何してる?じゃあもうすっぴんだな。は?来るなじゃねえよ。もう着く』


どうでもいい内容なのに、なんだこの幸福感。

世間の彼氏彼女ってこんななのか?


インターホンを鳴らした瞬間ドアが開いて、葉月がほんの少し顔をのぞかせた。


「じっくり見ないでよ」

「すっぴんだから?」

「はいさようならー」

「おい」


締まるドアにすかさず身体を滑り込ませた。

すっぴんを恥ずかしがるとか、かわいすぎて困る。

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