ラブ パラドックス
大きく開いたトランクが壁になって、私たち二人だけが、周りから隔離されたみたいに感じる。

元々かっこいい湊さんを、異性として意識してしまうと急にドキドキしてきた。一人で勝手におろおろしていると、湊さんが小さく一歩、距離を詰めてきた。


「かわいいね」

「全然っ!かわいげがない女って、昼間言われたし」

「なんで?確かに見た目は可愛い系より美人系だけど、面白いし、おいしそうに食べるし、笑顔がかわいくて一緒にいて楽しい」

「ぜ、絶賛じゃないですか!」

「ほらそういうところ、好きだな」


顔が熱い。かわいいというキーワードに慣れてないから、恥ずかしくて汗が出る。


「付き合ってる人いないんだよね?」

「あ、うん」

「ごめん。中村に聞いた。はじめて店に来てくれたときから凛子ちゃんのこと気になってて、あの後飲みに行くって言ってたから、その辺聞いておいてほしくて電話した」

あの時の電話はそういうことだったのか。


あっ!

湊さんが、また一歩距離を詰めたと思ったら、湊さんの腕の中にいた。


ひんやりしたジャケットが頬にあたる。ふわりと、香水のさわやかで甘い香りが鼻をくすぐる。


「俺のこと意識してくれると嬉しい。またデートしよう」

おやすみ。と、唇を前髪に押し当てられた気がした。

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