僕の星
「水晶?」
「どうかな、もしかしてダイヤモンドかも」

 ゆかりが意味ありげに言い、ニヤリとした。

「その人はこの粒のことを言ったのよ。里奈のイメージだって」

 里奈は思わず胸を押さえた。

「これが、私のイメージ……」

 ゆかりから粒を受け取ると、夜空に輝く満月にかざした。

「でも、最初からお守り袋に入っていたのかも」
「違うよ。一度袋を開けた形跡があるから、その人が入れたんだよ」

 ゆかりは断定的に言った。

 里奈は何だか顔が火照ってきた。この透明な粒は、随分ときれいで、そして優しげな光を放っている。
 長いこと眺めてから、元どおりお守り袋に仕舞う。

 大事なものを扱うように、旅行バッグの内ポケットに収めた。
 ゆかりはその動作を見守っていたが、興味津々の顔ですり寄ってきた。

「どんな男の子だったの?」

 里奈は何とも言いようがなくて困った。

 あの男の子を思い出すと、どういうわけか心が高ぶってくる。
 里奈には珍しい現象だけど、気分は悪くない。

 廊下から話し声と足音が聞こえてきた。他の女子が返って来たようだ。
 里奈はなんとなく慌てて、お土産の整理を始めた。



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