僕の星
「もらたって、誰に。あ、もしかして進太って人?」

 ゆかりが口にした名前に、里奈は不愉快そうに顔をしかめた。

「まさか。その人と同じ学校の男子だけど、こう……地味な感じの、スポーツ少年みたいな」
「う~ん、わかんないな。そんな男子いたっけ」

 ゆかりは考える風に顎に手をやる。

「とにかく、その男の子がくれたの。君のイメージだって言って」
「え? イメージって、東大寺の大仏様が……?」

 ゆかりがまた笑いそうになり、里奈はむくれた。

「失礼すぎるよ、あの学校の人達」

 一体、どういう意味なのよと、くるっとした目の少年を思い浮かべる。

「ちょっと貸して」

 ゆかりはお守り袋を手に取ると、撫でたりかざしたり、指で押したりした。

「あれっ、中に何か入ってるよ」

 里奈に言うと、袋の口を開けようとした。

「あっ、罰が当たる」
「緊急事態だから」

 とっさに止めようとしたが、ゆかりは袋を逆さにして、手の平に何かを振り出した。

「……ガラスのかけら?」」

 直径5ミリほどの透明な粒だ。
 ゆかりの指先に挟まれたそれを、二人は額を寄せ合って見つめた。
< 10 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop