僕の星
(ああ、この人だ!)

 思わず声を上げそうになるが、かろうじて抑える。
 間違いない、お守り袋の彼だ。

 当たり前だけど、あの時見たままの顔と姿である。ブルーの腕時計も一致していた。

 里奈はそわそわしながら、写真をアプリに保存する。誰も見ていないのに、平静を装ったりした。


 しばらくするとバスはサービスエリアに入った。
 生徒達はバスを降りて、トイレや店舗にぞろぞろと歩いて行く。通路からは琵琶湖を眺められた。

 ゆかりと二人きりになってから、里奈は彼女にそっと写真を見せた。

「この男の子だよ、ゆかり。お守りの男の子!」
「えっ、嘘! 写ってるの? どれどれ」

 彼女も興奮気味だ。いつもよりテンションが高くなっている。

「わあ、なんだか渋い子ね」

 彼はズボンのポケットに手を突っ込み、友達となにやら喋っている。

「それに、眉毛が濃くない?」
「う、うん」

(濃いというより、凛々しい?)

 少年の落ち着いた雰囲気に、強気な印象を添えていた。
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