僕の星
結び~永遠~
子どもの頃、夏休み最後の夜――
家族の誰にも告げず、ひとりで星を見に行った。
夜の浜辺を走っていると、砂浜には花火に興じる人影が数組、あちこちに散らばっている。
俺は待った。
星と自分のふたりきりになるのを。
1時間ばかり過ぎただろうか。
花火の音も、人の話し声も遠ざかり、辺りには波の打ち寄せる音だけが響くのみとなった。
ほとんど真っ暗な夜の中、俺は小さな懐中電灯を片手にサンダルに砂をまぶしながら、波打ち際へと向かう。途中、花火のごみやクラゲの死骸なんかもあって、ジャンプしてよけながら走った。
ひんやりとした海水に足が浸る辺りで立ち止まる。
肩で息をしながら、遠くに目を凝らした。
無限に拡がる黒い海原。
だけどそれ以上に、頭上にある天空……宇宙は、気が遠くなるほど彼方まで続いている。
今も宇宙は膨張し続けているのだと、理科の先生が言ったのを思い出していた。
俺は波のあとがついていない、乾いたところまで後ずさると、砂の上にごろりと寝そべり夜空と対峙した。
あの星も俺も、同じ材料で出来ている。今の俺ならそんなことを思うだろう。
だけど、10歳のガキにはただ、見たままの感動だけが胸にあった。
とてつもなく美しい、と――
家族の誰にも告げず、ひとりで星を見に行った。
夜の浜辺を走っていると、砂浜には花火に興じる人影が数組、あちこちに散らばっている。
俺は待った。
星と自分のふたりきりになるのを。
1時間ばかり過ぎただろうか。
花火の音も、人の話し声も遠ざかり、辺りには波の打ち寄せる音だけが響くのみとなった。
ほとんど真っ暗な夜の中、俺は小さな懐中電灯を片手にサンダルに砂をまぶしながら、波打ち際へと向かう。途中、花火のごみやクラゲの死骸なんかもあって、ジャンプしてよけながら走った。
ひんやりとした海水に足が浸る辺りで立ち止まる。
肩で息をしながら、遠くに目を凝らした。
無限に拡がる黒い海原。
だけどそれ以上に、頭上にある天空……宇宙は、気が遠くなるほど彼方まで続いている。
今も宇宙は膨張し続けているのだと、理科の先生が言ったのを思い出していた。
俺は波のあとがついていない、乾いたところまで後ずさると、砂の上にごろりと寝そべり夜空と対峙した。
あの星も俺も、同じ材料で出来ている。今の俺ならそんなことを思うだろう。
だけど、10歳のガキにはただ、見たままの感動だけが胸にあった。
とてつもなく美しい、と――