僕の星
 里奈はたどたどしく、ことのあらましを律子に語った。
 律子は驚いた顔になると、

「すごーい。何だかいいじゃん、それって」

 頬を紅潮させ、座席から身を乗り出した。

「じゃあさ、三田(みた)君に写真を見せて、その人の名前とか聞いてみるよ」

 三田というのは律子のメル友君だ。

「アドレスも聞けたら里奈のスマホに転送するね。へえ~、里奈がねえ。そうなんだ~」

 珍しげに見回され、里奈は面映ゆくなる。

「でっ、でも、付き合いたいとかそういうのじゃないから。ただ、お守り袋のお礼を言いたいだけで……」
「分かった分かった。まかせなさい!」

 律子は人のよい笑顔を見せて、里奈の肩をぽんと叩いた。


 里奈は自分でびっくりしている。
 律子と男の子の話をするようになるとは思わなかった。
 もちろん、ゆかりともだ。今までまったく話題に上ることがなかった。

 男子に対する考え方が180度転化しそう――
 ふと、そんな予感がして浮足立つ。

 男の子なんて、別の世界の生き物。
 自分には関わりのない存在だと認識していたのに。

「そっかあ~。やっと里奈も目覚めたかあ~」

 律子の軽やかな言葉が的を射た気がして、里奈の胸は微かに震えた。

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