僕の星
「だから三田君が、真面目な子に手え出すなって止めたらしいの。だけど、進太君がどうしても里奈に連絡を取りたいってきかなくて。メールに添付した写真も、自分で用意してきたらしいよ。里奈にだけみたいだよ、マジで」

 律子は真顔で言うけれど、里奈はどうも納得しかねる。

「おかしいなあ」

 なぜか絶対に信用できないのだ。これはきっと、女の直感だ。

「とりあえず、気軽にメールしてみたら? 友達としてならいいでしょ」

 律子がにっこり笑って提案した。

「……」

 里奈の融通が利かないところは、父親譲りだ。
 意外な頑固さは、周りの友達を時々戸惑わせる。

「ううん、やめておく」

 きっぱりした里奈の返事に、律子達はあからさまに驚いた。

「えぇ~もったいな~い!」
「せっかくのイケメンなのにィ」
「メール交換ぐらい気軽にやればいいじゃん」

 もう少し譲歩すべきだったかな……と、里奈は一瞬怯んだけれど、どうしても嫌だった。
 佐久間進太という男の子に、関心が持てないのだ。
< 25 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop