僕の星
「いいよ。どこにいるの? そっちへ行くよ」
『あ、ありがとう』

 律子はほっとした声で言うと、名古屋の駅ビル内にあるカフェを教えた。
 里奈は急いで身支度を整え、自転車に乗って駅に向かう。
 
 名古屋駅に着くと、まっすぐカフェを目指した。

 電車内は冷房が効いて涼しかったが、ホームから改札、コンコースに抜ける通路は暑い。
 しかも速足で歩いたので、額に汗がにじんでいる。

 里奈はカフェのドアを開けると、律子を探した。
 そして窓際のテーブルに座っているのを見つけた瞬間、あっと叫んだ。
 店中の視線が一斉に里奈に向く。それぐらい大きな声だった。

 律子達も気が付いてこちらを見、手を上げて合図をする。
 テーブルには律子と、男子二人が座っていた。

 しまった……と、里奈は唇を噛む。

 一人は律子の遠距離恋愛中の三田君。そしてもう一人は、佐久間進太だった。

 あからさまに不愉快な顔を、三人に見せてしまった。
 突然のことで、とりつくろう余裕もない。

 里奈が律子の隣に腰かけると、ウエイターが注文を取りに来た。

「アイスコーヒー」

 抑揚のない声で言い、あとは押し黙ってしまった。
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