僕の星
「嫌いなんだね」

 黙っている里奈に対し、進太は独りで結論付ける。微笑みを消した顔に、険しいものが現れつつあった。

「進太はマジなんだよ。な、森村さん。何とか応えてくれよ」

 三田も真顔になり、横から口を出した。律子は心配そうに見守っている。

 里奈は理不尽な思いにとらわれる。
 いきなり呼び出された上、なぜこんなに責められなきゃいけないの――

「私はあなたを好きでも嫌いでもない。関心がないだけです」

 進太の顔をにらみ、語気強く言ってしまった。
 予想外の返答だったのか、進太はぼけっとしている。
 三田も律子も、信じられないという目で、里奈を眺めた。

 里奈は自分が、グラスに残った氷より冷たい女になった気がした。
 どうしてこうなるのだ。
 これでまた、卒業するまで異名が付くだろう。

 冷酷女。それとも、非情な女? りっちゃんのお好きなように……

 里奈はコーヒー代をテーブルに置くと、何も考えずに椅子を立った。
< 32 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop