僕の星
「ダイヤモンド? 嘘っ!!」
「嘘じゃないよ」
「だって」
「もちろん、ニセモノだけど」
「ええっ?」

 里奈は煙に巻かれて混乱し、指先からそのかけらを取り落としてしまった。

「キャアッ!」

 大声で叫んだので、周りの行楽客らが一斉に注目した。滝口も声に驚き、身を引いている。

「おいおい」
「ごめんなさい!」

 里奈はギャラリーに何でもないんですとジェスチャーし、それから地面にへばりついて、落としたかけらを探し始めた。

「君……森村さん、よせよ」
「だって……」
「君はだってが多いなあ」

 呆れたように笑うと、彼は早口で教えた。

「だから、それはニセモノ。ガラスのかけらだよ」
「……ガラスの、かけら?」

 里奈は半泣きの顔を上げる。何とも言えない脱力感に襲われ、その場にへたりこんだ。
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