ポンコツ同盟

ある日の放課後。

今日の部活はミーティングのみで終わり、さっさと帰れる日だった。

制服のままでいいのに、間違えて俺は練習着に着替えていて、「桜庭!本当にサッカーバカだな!」と先輩たちに笑われた。恥ずかしい。

「桜庭!平井!こんなに早く帰れる日ねえから、カラオケ行こうぜ!」

同じサッカー部1年の葛西に誘われる。

「いいね!行こう!」

「桜庭は先着替えろよ。」

「着替えたらダッシュで行く!門のところで待ってて!」

「「りょ!」」

2人が部室のドアを開けた時、下手くそなピアノの音が聴こえてきた。

おかしいな。音楽室は吹奏楽部が使ってるはず。いつもあのピアノは、部活が始まる前の数分のみしか聴こえてこなかった。

俺は校舎の方に引き寄せられる。

「桜庭?」

前を歩いていた2人に不思議そうに呼ばれ、ハッと我に返る。

「ごめん、平井、葛西、俺古文のノート、教室に忘れたぽいわ!」

「もう、早く行ってこいよ。」

「わりいわりい!」

咄嗟に嘘をついた俺は、部活着のままダッシュで音楽室へとかけ上った。

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