ポンコツ同盟
「うわ。痛そー。」
頭上から男の人の声がした。咄嗟に手を隠す。
「こんなとこでリスカしてんの?死にたいの?」
そう言ってきたのは、隣のクラスの樋口幹生だ。彼は学年首席のくせに、不真面目で性格が悪いからよく目立つ。
最悪。見られた。真冬の寒い屋上に放課後誰かがいるなんて思いもしなかった。よりによって同級生に見られるとは。
「…なんでここに。」
「友達が補習授業受けてるから待ってるんだよ。けっこうやってんね。死ぬ気なの?」
樋口は私の左腕を取って、まじまじと見た。
「死ぬ気はないよ。ファッションリスカ。誰にも言わないでよ。」
「ファッションリスカなのに誰にも見せないんだ。」
「…」