下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
わたし…何やってるんだろ…。


間違った告白を否定できないまま、このまま下村係長と…つき合っちゃったりするの…?


ダメ、ダメッ!!


わたしには“榎本くん”て心に決めた人がいるのに!


でも…。


ミスったわたしも悪いんだし…勘違いさせた上に「帰ってください」なんて言えるはずもなく。


あり合わせで作った親子丼と、もやしとみょうがのお浸し2人分を並べて、係長との晩ご飯。


「意外とちゃんとした料理、作るんだな?」


わたしの初・男の人への料理=下村係長。


「お前もウマイといいんだけど。どーせ初めてなんて“マグロ”だろうしな」


下ネタ係長…マグロは鮮度が良ければ美味しいです…。


「さて、ヤることもねぇし。腹いっぱいになったら眠い。今日は帰る」


「帰る…んです、か…?」


「何?また誘ってんの?」


「いえっ!そうじゃなくて…!」


話を聞いてほしいんですが…!


なのに係長は脱いだスーツに袖を通して玄関のノブに手をかける。


「あの…!」


「だから何だよ?」


「いえ…何でもありま、せん」


「じゃ、明日会社で。今日のこと思い出してオレの下半身ばっか見るなよ」


やっぱりコノ人…下ネタ係長!!


「見ませんっ!!」


「じゃ」


そう言って係長は。


わたしの二の腕を引っ張って、キス…。


───パタン


ドアの向こうに消えた下村係長の背中に。


明日こそはちゃんと向き合って本当のとを話そう───と。


キスの向こう側に遠く思った。
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