下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
車は会社駐車場へ、台車を借りて胃薬90ケースを2人で薬品倉庫へ運んで。


係長と高島部長へ報告。


「先方もすんなり謝罪を受け入れてくれたんで」


「え?ホント?昨日、あんなに怒ってたのに?」


「阿藤が誠心誠意、謝りましたから」


「ふーん…。ま、謝ることに関しちゃ、阿藤さん慣れてるもんね」


「慣れじゃなく、そーゆー環境を作ってる“ココ”に問題があるんじゃないんですか?」


「…は?」


「嫌な仕事阿藤に押しつけてパニクらせてミスさせて面白がって、そーゆーの、パワハラだと思いますけど。何なら会長に掛け合いましょうか?」


「あ、いや、下村係長さ、ホント今日はありがとう。阿藤さんのことに関しても環境改善につとめるんで、パワハラとか大袈裟なこと、やめようよ、ねっ?」


「見直されない場合、オレ、動く覚悟あるんで。お願いしますね」


「そりゃ、もう!下村係長の依頼とあらば、営業庶務全体で阿藤さんのサポートさせてもらいます。お互いにさ、穏便に、ね」


「お願いします」


それだけ言うと、下村係長はウチの課を出て行った。


てゆーか…え…。え…?


なんで係長の一言でこんなに部長がヘコヘコするの?


そりゃ、近頃じゃウチの会社もパワハラに関してはちょっとうるさいけど、こんな部長、初めて見たし。


あっけらかんと下村係長が消えた扉だけを見ていたわたしに、


「阿藤さん、本来の受注確認だけ頼むね」


と、部長は今までとは手の平を返したような態度。


昨日まではお茶汲みも大量のコピーも書類整理も発注も、面倒なことは全部わたしに押しつけてたのに…どうして…?


「阿藤さん?」


「あ、ハイッ。わかりましたっ。この度はご迷惑をおかけして申し訳ありませ…」


「いいの、いいの。気にしないで仕事に戻って」


周りの視線を感じながら自分のデスクに着席。


パソコンを立ち上げて各会社、薬局全ての受注確認作業のみを淡々とこなす。


他に声をかけられたり頼まれる仕事もウソのようになく、二重チェックもしっかりとした上で決裁判が押されたわたしの書類。


いつもは1人で残業組だったのに、終勤にはあっさり片付いてしまった。


下村効果、バンザイ…かも。
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